「妊産婦と変形労働時間制」
学校には1年間を通じて土曜・日曜に様々な行事があります。
運動会、授業参観、入学試験、学校説明会などなど、あらかじめ日程が決まっています。
そうすると先生は、
・行事がある週は「週6日働く」
・入学試験がある日は準備・運営で「1日10時間働く」
といった必要も出てきます。
そもそも労働基準法では、
・1日8時間
・1週40時間
を超えて従業員を勤務させることが禁止されています。
しかし、「業務の繁閑」がどの学校にもあると思います。
例えば、行事がある時期は忙しいが、子どもが登校しない夏休みはそうではないというものです。
そのような学校のために労働基準法に基づき、「変形労働時間制」という制度があります。
(説明の都合上「学校のため」と書いていますが、学校以外でもこの制度は取り入れられています。)
変形労働時間制は、勤務日を確定させたうえで事前に労使協定を締結していれば、1日8時間、週40時間勤務を基本としながら、
・行事がある週は「週6日勤務」になる代わりに、子どもが夏休みの期間は「週4日勤務」
・入試の日は「1日9時間勤務」だが、代わりに別の日は「1日7時間勤務」
という、業務の繁閑に応じた勤務日・勤務時間の設定が認められるというものです。
ただし、勤務時間が短くなる時期があったとしても、週6日勤務や1日9時間勤務があると身体的に負担になってしまいます。
特に、妊娠中や出産後の女性にとっては労働時間が長くなると身体的負担が大きくなるため、お母さんと赤ちゃんを保護する必要があります。
そこで労働基準法では産前産後の措置として、変形労働時間制を取り入れていたとしても、
・妊娠中の女性
・出産後1年を経過しない女性
が申し出た場合は、
・1日8時間以内
・1週40時間以内
の勤務としなければならないという決まりがあります。
つまり、申し出をした女性にのみ適用されます。
解釈に誤解がないように記載しますが、申し出があった場合の勤務は「1日8時間以内」と「1週40時間以内」の両方を満たさなければなりません。
「待望の赤ちゃんが生まれる/生まれた!」といううれしい気持ちがある一方で、「働きながら子育てをする」という不安がある方も少なくないと思います。
学校で決まった勤務カレンダー通りに働くことに不安を感じている女性の皆さんは、申し出をすることを強くお勧めします。